「転勤で家を離れることになった。売却すべきか、賃貸に出すべきか?」
「相続した実家、売るのは寂しいけれど貸すのは大変そう……」
家という大きな資産をどう扱うかは、その後の人生のキャッシュフローを大きく左右します。
結論から申し上げます。
迷っているなら、原則は『売却』が正解です。
なぜなら、個人が「貸す(大家業)」には、空室リスクや修繕費、そして税制上の大きな落とし穴があるからです。
一方で、特定の条件を満たす物件であれば「貸す」ことで金の卵を産む資産に化けることもあります。
この記事では、売却と賃貸のメリット・デメリットを徹底比較し、あなたが「売るべきか、貸すべきか」を即断できる5つのチェックポイントを提示します。
結論:売却 vs 賃貸の比較表
まずは、それぞれの特徴を俯瞰してみましょう。
| 比較項目 | 家を売る(売却) | 家を貸す(賃貸) |
| 最大のメリット | 一括で多額の現金が入る | 毎月の家賃収入(副収入) |
| リスク | 売却後に値上がりする可能性 | 空室、家賃滞納、修繕トラブル |
| 維持費 | なし(即座に解消) | 管理費、固定資産税、修繕積立金 |
| 税制上の利点 | 3,000万円の特別控除など | 減価償却費による節税効果 |
| 手間 | 一時的(売却時のみ) | 継続的(入居者対応・管理) |
1. 「売却」を選ぶべき3つのケース
多くの場合、個人が不動産を所有し続けるリスクは想像以上に大きいです。以下のケースに当てはまるなら、売却を強く推奨します。
① 次の住み替え資金が必要な場合
新しい家の購入資金やローンの頭金が必要なら、売却一択です。家を貸しながら新しいローンを組むのは、審査(返済比率)が非常に厳しくなるため、現実的ではありません。
② 将来的に「自分で住む」予定がない場合
「いつか戻るかも」という曖昧な理由で貸し出すのは危険です。一度他人に貸すと、日本の法律(借地借家法)では貸主の都合で出て行ってもらうことは非常に困難です。戻る予定がないなら、市場価値が高いうちに現金化するのが賢明です。
③ 節税特例(3,000万円の特別控除)を使いたい場合
マイホームを売却する場合、利益から3,000万円まで控除される強力な特例があります。ただし、これには**「住まなくなってから3年目の12月末までに売却する」**という期限があります。長く貸しすぎると、この数百万〜一千万円単位の節税メリットを失うことになります。
2. 「貸す」ことで利益が出る2つの条件
逆に、以下のような好条件が揃っているなら、賃貸経営を検討する価値があります。
① 圧倒的な「立地」と「需要」がある
- 駅から徒歩5〜7分以内
- 周辺に競合する賃貸物件が少ない
- 人気の学区や再開発エリアこうした物件は空室リスクが低く、将来的な資産価値の下落も緩やかなため、持ち続けるメリットがあります。
② ローンが完済されている(または返済額が低い)
家賃収入から「管理費・修繕積立金・固定資産税・所得税」を引いた際、しっかり手元に現金(キャッシュフロー)が残るかどうかが分かれ目です。
専門家のアドバイス:
「家賃収入 ≧ ローン返済額」では赤字です。修繕費や空室期間を考慮すると、家賃の15〜20%は諸経費として消える計算でシミュレーションしましょう。
3. 「貸す」場合に絶対に無視できない3つのリスク
「貸す」は不労所得ではなく「経営」です。以下のリスクを許容できますか?
- 空室・家賃滞納リスク: 住宅ローンが残っている場合、入居者がいなくても返済は続きます。
- 多額の修繕コスト: エアコンの故障から給湯器の交換、退去時の原状回復費用など、突発的な出費が発生します。
- 資産価値の下落: 人が住めば住むほど建物は傷みます。10年貸した後に売ろうとしても、売却価格が大きく下がっている可能性があります。
4. プロが教える「損をしないための判断手順」
迷ったときは、以下のステップで数字を出してみてください。
- 査定を依頼する: 「今売ったらいくら?」と「貸したらいくら?」の両方の査定を不動産会社に依頼します。
- 手残り額を比較する: * 売却:売却代金 - (ローン残債 + 諸経費 + 税金)
- 賃貸:年間の家賃収入 - (年間の諸経費 + 税金)
- 10年後のシミュレーション: 10年間貸し続けた場合の家賃総額と、10年後の想定売却価格の合計が、今売る金額を大きく上回るかどうかをチェックします。
FAQ(よくある質問)
Q. 「リロケーション(期間限定の賃貸)」はどうですか?
A. 数年間の転勤など、確実に戻る予定があるなら有効です。「定期借家契約」を結べば期間満了で確実に退去してもらえます。ただし、通常の賃貸より家賃設定を1〜2割下げる必要があります。
Q. 古い家でも貸せますか?
A. 貸せますが、リフォーム費用がかさむ可能性があります。古い家ほど「現状渡し」で売却し、買主側にリフォームしてもらう方が、売主の持ち出しリスクが少なくなります。
Q. 貸すときの管理はどうすればいいですか?
A. 自主管理はトラブルの元です。家賃の5%程度の管理手数料を支払い、信頼できる管理会社に委託するのが一般的です。
まとめ:あなたのライフプランに合わせた選択を
家を「売る」か「貸す」かの正解は、物件のスペック以上に「あなたの今後の人生」に依存します。
- 「現金化してスッキリしたい、新しい生活の足しにしたい」なら売却。
- 「将来その家を使う可能性がある、または立地が最高で年金代わりにしたい」なら賃貸。
まずは、あなたの家が市場でどう評価されているか、客観的な「売却査定額」を確認することから始めましょう。

