家を売るか貸すか迷ったら読む記事|損しない判断基準と税金・収支を徹底比較

売るor貸す

この記事は、宅建士資格を保有し、元大手ハウスメーカー営業の実務経験をもつ不動産専門ライター『木村仁』が執筆しています。

家を「売るべきか、それとも貸すべきか…」と悩みながら、結局どちらが得なのか判断できずに止まっていませんか?

この記事を読めばわかること(結論まとめ)
  • 「売る・貸す」の判断は、物件スペックよりもあなたのライフプランと収支計算で決まる
  • 迷ったときの原則は売却。賃貸が正解になるのは「立地が優秀」かつ「ローンが少ない」2条件が揃う場合のみ
  • 住まなくなってから3年以内に売却しないと、最大3,000万円の節税特例を失う
  • 賃貸収入の実手残りは「家賃の80〜85%」で計算しないと赤字になる
  • 判断の起点は「今の査定額を知ること」。売る・貸すどちらを選ぶにしても査定は必須

この記事では、売却と賃貸のメリット・デメリット、あなたが「売るべきか、貸すべきか」で損しないための判断基準と税金・収支をくわしく解説していきます。

目次

家を売るか貸すか——まず「あなたの状況」で9割決まる

「転勤が決まった」「親の家を相続した」「離婚することになった」——。

家をどうするかという決断は、突然やってきます。そして多くの人が、情報収集しながらも判断できずに時間を溶かしていきます。

その間にも、3,000万円控除の期限は刻々と近づいています。

結論から言います。

迷っているなら、まず「今の売却価格」を知ることが全ての起点です。

売却価格を知らずに「貸すか売るか」を考えるのは、手持ちの資産総額を知らずに投資判断するのと同じです。まず数字を把握してから、戦略を立てましょう。

このチェックリストで今すぐ判断できる

以下の質問に答えてください。「はい」の数で判断基準が変わります。

【売却寄りのチェックリスト】

  • □ 新しい家の購入・賃貸の資金が必要
  • □ 将来、その家に戻る具体的な予定がない
  • □ 住まなくなってから2年以上経過している(または間もなく3年になる)
  • □ ローン残債が売却価格の80%以上ある
  • □ 管理・修繕の手間や精神的負担を避けたい

2つ以上「はい」なら売却を強く推奨します。

【賃貸寄りのチェックリスト】

  • □ 駅徒歩7分以内で、周辺の賃貸需要が高い
  • □ ローンが完済済み、または残債が少ない
  • □ 数年後に自分または家族が住む可能性がある
  • □ 管理会社に委託する費用も含めてプラスのキャッシュフローが出る

3つ以上「はい」なら賃貸経営を検討する価値があります。

「どっちか迷う」人が陥る3つの思考の罠

罠①:「いつか戻るかも」で決断を先延ばしにする 曖昧な「いつか」のために節税期限を過ぎると、数百万円の損失につながります。

罠②:「家賃収入=利益」と思い込む 家賃収入から管理費・税金・修繕費を引くと、手残りは想定より20〜25%少なくなります。

罠③:「貸した後でも売れる」と楽観視する 日本の借地借家法は借主保護が強く、貸し始めると「売りたいから出て行って」は通じません。10年後の売却価格は建物老朽化で大幅に下がる可能性もあります。

【比較表】売却 vs 賃貸|メリット・デメリットを完全整理

比較項目売却賃貸
収入形態一括で現金化毎月の家賃収入(長期)
最大リスク売却後の値上がり空室・滞納・修繕
維持コスト売却後はゼロ管理費・固定資産税・修繕費が継続
税制上の優遇3,000万円特別控除(期限あり)減価償却による節税(規模による)
手間売却時のみ(3〜6ヶ月)継続的(入退去・管理・申告)
将来の自由度高い(資産を現金に変換)低い(借主がいると売りにくい)
建物の状態売却時点の価値で現金化経年劣化で資産価値が下がり続ける

一文結論:「売却は確実性」「賃貸は可能性」。不確実性を取れる条件が整っていない限り、売却が合理的選択です。

「家を売るべき」3つの明確なケース

ケース①:住み替え・買い替え資金が必要

新しい家の頭金や購入費用が必要なら、売却一択です。

「家を貸しながら新しい住宅ローンを組む」は審査の壁が高く、現実的ではありません。金融機関は賃貸収入の50〜70%しか収入として認めないため、返済比率が悪化します。売却して資金を確保してから動くのが、最も安全なルートです。

ケース②:将来的に自分で住まない

「いつか戻るかも」という曖昧な気持ちのまま貸し出すのは危険です。

日本の借地借家法は借主を強く保護しています。「売りたいから退去してほしい」「自分が住みたくなった」などの理由で入居者に出て行ってもらうことは、法律上ほぼ不可能です。

戻る具体的な計画がないなら、市場価値が高いうちに現金化するのが賢明な判断です。

ケース③:3,000万円控除の期限が迫っている【税金リスク警告】

マイホームを売却すると、譲渡益から最大3,000万円を控除できる強力な節税特例があります。

ただし、この特例には厳しい期限があります。

「住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること」

たとえば2023年3月に引っ越して住まなくなった場合、2025年12月31日が期限です。

この期限を過ぎてから売却すると、数百万〜1,000万円以上の税負担が発生するケースもあります。「少し貸してみようかな」と思っているなら、この期限だけは必ず確認してください。

「家を貸すべき」2つの好条件【どちらも満たせば賃貸が正解】

条件①:駅近・人気エリアの圧倒的立地

以下の条件を複数満たす物件は、賃貸経営の勝ち組になれる可能性があります。

  • 最寄り駅から徒歩5〜7分以内
  • 周辺に競合する賃貸物件が少ない
  • 人気の学区・再開発エリア・商業施設が充実
  • 単身者・ファミリー層の需要が安定している

このような物件は空室リスクが低く、将来的な資産価値の維持も期待できます。立地が優秀であれば、「売却 vs 賃貸」の試算をする価値が十分にあります。

条件②:ローン完済 or 残債が少ない

賃貸経営の収支は「家賃 − 全コスト」で判断します。

項目目安
管理委託費家賃の5〜8%
固定資産税年間10〜20万円(物件による)
修繕・原状回復年間家賃の5〜10%
所得税(家賃収入分)収入・控除による
実質手残り家賃収入の75〜85%が上限

月10万円の家賃でも、実質の手残りは7.5〜8.5万円が現実的な上限です。ここからローン返済額を引いてプラスにならなければ、賃貸は赤字経営になります。

一文結論:「家賃 > ローン返済額」では赤字です。諸経費込みで黒字になるかを必ず試算してください。

賃貸経営で後悔する人が見落とす3大リスク

賃貸は「不労所得」ではなく「経営」です。以下のリスクを正直に評価してください。

リスク①:空室・家賃滞納

住宅ローンが残っている物件で空室になると、家賃収入ゼロの状態でも毎月の返済は続きます。都市部でも2〜3ヶ月の空室は珍しくなく、年間1ヶ月分の空室を織り込んで試算するのが現実的です。

家賃滞納が起きた場合、法的な退去手続きには平均6ヶ月〜1年以上かかることもあります。

リスク②:突発的な修繕費

入居中・退去時ともに、想定外の費用が発生します。

修繕内容目安費用
エアコン交換10〜20万円
給湯器交換15〜25万円
退去時クリーニング・クロス交換10〜30万円
外壁・屋根補修(10〜15年ごと)50〜150万円

これらは突然やってきます。修繕費の積立を怠ると、収支が一気にマイナスになります。

リスク③:建物老朽化による売却価格の下落

人が住めば住むほど、建物は傷みます。

木造住宅の法定耐用年数は22年。築10年の物件を10年間賃貸に出すと、売却時には築20年になっています。この差は売却価格に大きく影響します。

「10年貸して、その後売ればいい」という考え方は、10年後の市場価格と建物状態を楽観視しすぎている場合がほとんどです。

【収支シミュレーション】10年間で売却 vs 賃貸どちらが得か

モデルケース:築10年・駅徒歩8分・残債1,500万円の戸建て

前提条件

  • 現在の売却査定額:3,000万円
  • 想定家賃:月12万円(年144万円)
  • ローン残債:1,500万円(月返済額9万円)
  • 管理委託費・税金・修繕費:年間家賃の20%

【売却を選んだ場合】

項目金額
売却代金3,000万円
ローン完済−1,500万円
仲介手数料・諸費用−約100万円
3,000万控除適用(譲渡益なし想定)税負担ほぼゼロ
手残り(即時)約1,400万円

【10年間賃貸を選んだ場合】

項目金額
10年間の家賃収入1,440万円
諸経費(20%)× 10年−288万円
ローン返済(月9万×120回)−1,080万円
10年後の売却想定価格約1,800万円(▲40%と仮定)
10年後の売却諸費用−約60万円
10年後の手残り合計約1,812万円

この試算からわかること

10年間賃貸を続けた場合、最終的な手残りは売却より約400万円多くなります。ただし、これは「10年間空室ゼロ・大規模修繕なし・売却価格の想定が当たった」という楽観シナリオです。

空室が年間1〜2ヶ月発生したり、給湯器や外壁補修が重なったりすると、この差はすぐに縮まります。

リスクを取れる体力と立地条件がある場合のみ、賃貸に優位性があります。

プロが教える「損しない判断の3ステップ」

ステップ①:まず売却査定額を知る(これが全ての起点)

「売るか貸すか」を考える前に、今の売却価格を把握することが最重要です。

売却価格がわかって初めて、「今売った場合の手残り」と「10年貸し続けた場合の総収益」を比較できます。査定額を知らずに判断するのは、地図なしで山登りをするようなものです。

複数の不動産会社に同時に査定依頼できる一括査定サービスを使えば、最短数分で複数社の査定額を比較できます。

▶ 迷っているなら、まず査定額を確認しましょう
売却査定と賃貸査定の両方を依頼して、数字を比べてから決断しても遅くはありません。
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ステップ②:賃貸収支を試算する

管理会社に「この物件なら月いくらで貸せるか」を査定してもらいます。その家賃から諸経費(管理費・税金・修繕積立)を差し引き、ローン返済後に手残りが出るかを確認します。

月々の手残りがゼロかマイナスなら、賃貸は現時点では非推奨です。

ステップ③:10年後の総額で比較する

「今売った場合の手残り」と「10年賃貸後の売却益+家賃収入合計」を比較します。楽観・悲観両シナリオで試算し、悲観シナリオでもプラスになるか確認しましょう。

転勤・相続など状況別の判断ガイド

転勤で一時的に家を離れる場合

確実に数年後に戻る予定があるなら、定期借家契約(期間限定の賃貸)が有効です。通常の借家契約と違い、契約期間満了で確実に退去してもらえます。ただし、家賃は通常より1〜2割低く設定する必要があります。

注意点:転勤が延長になったり、戻らなくなったりするケースも多いです。「定期借家で2年貸して、様子を見る」という判断は現実的ですが、3年目以降の方針は早めに決めておきましょう。

相続した実家をどうするか

相続した実家は、感情的な判断と経済的な判断が衝突しやすい場面です。

「売るのは親に申し訳ない」という気持ちは理解できます。しかし固定資産税・管理費・建物の老朽化は、感情に関係なく進みます。

特に空き家を「とりあえず保有する」のは最もリスクが高い選択です。空き家のまま放置すると、固定資産税の軽減措置が外れ、維持コストだけがかかり続けます。売却か賃貸か、どちらかに早めに結論を出すことが、資産を守ることにつながります。

離婚・ローン返済困難など緊急性が高い場合

このケースでは、感情より速度が優先されます。早期売却・任意売却など選択肢が異なるため、まず不動産会社と金融機関の両方に相談することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

家を貸すと確定申告が必要になりますか?

はい、必要です。家賃収入は不動産所得として申告が必要で、給与所得と合算して課税されます。ただし、管理費・修繕費・減価償却費などを経費として計上できるため、実際の税負担は収入額より少なくなるケースが多いです。

「住宅ローンが残っている家」を貸していいですか?

原則、住宅ローンは「自己居住」が条件です。転勤など正当な理由がある場合は金融機関に申告すれば認められるケースがありますが、無断で賃貸に出すとローンの一括返済を求められるリスクがあります。必ず事前に金融機関に相談してください。

古い家(築20年以上)でも貸せますか?

貸せますが、入居付けのためにリフォームが必要になる場合がほとんどです。リフォーム費用が高額になるケースでは、「現状渡しで売却して買主にリフォームしてもらう」方が売主の持ち出しリスクを抑えられます。

管理会社に任せれば手間はかかりませんか?

管理会社への委託で日常的な手間は大幅に減ります。ただし、大規模修繕の判断・費用の支出・確定申告・入居者トラブルへの最終的な判断は、オーナーが行う必要があります。完全に「ほったらかし」にはなりません。

売却査定はどこに頼めばいいですか?費用はかかりますか?

不動産会社への査定依頼は基本的に無料です。1社だけに依頼すると相場がわからないため、複数社に同時依頼できる一括査定サービスの活用をおすすめします。査定額に100〜200万円以上の差が出ることも珍しくなく、比較することで損を防げます。

まとめ|あなたの「正解」を見つける最初の一歩

家を「売るか貸すか」の正解は、物件スペックよりもあなたのライフプランと、客観的な数字に依存します。

売却が向いている人
  • 住み替え資金が必要
  • 将来的に自分で住む予定がない
  • 3,000万円控除の期限が近い
  • 管理の手間・リスクを避けたい
賃貸が向いている人
  • 駅近・人気エリアの好立地物件を持っている
  • ローンが完済 or 残債が少なく、確実にプラスのキャッシュフローが出る
  • 数年後に自分または家族が住む具体的な計画がある

どちらを選ぶにしても、最初のステップは「今の査定額を知ること」です。

数字を知らないまま「売ろうか、貸そうか」と悩み続けることが、最も損をする選択です。

家の査定は無料。動いてから考えても遅くありません。

まずは、あなたの家が市場でどう評価されているか、客観的な「査定額」を確認することから始めましょう。

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この記事を書いた人

木村仁のアバター 木村仁 株式会社NEXT CREATION 代表取締役

大和ハウス工業で不動産営業を経験し、宅地建物取引士を取得。
現在はWEBマーケティング会社「株式会社NEXT CREATION」を経営。
このサイトでは、不動産の実務経験と専門知識を掛け合わせた視点から、家づくり・住み替え・売却で後悔しないための判断材料を中立的な立場で解説しています。

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