「愛着のあるこの家、手放してしまうのは寂しいけれど、持っているだけでもお金がかかるし…。いっそ誰かに貸したほうが、毎月家賃が入ってきておトクなのかな?」
転勤や実家の相続、住み替えなどで住まなくなった家を前にして、多くの方がこのように頭を悩ませています。
「売る」のと「貸す」の、どちらが正解なのか。ネットで検索すればするほど、専門用語や難しい税金の話ばかりが出てきて、「結局、うちはどっちにすればいいの?」と余計に迷ってしまいますよね。
実を言うと、ハウスメーカー営業時代からこれまで、私は同じお悩みを何百件と受けてきました。
そこで気づいたのは、「なんとなく貸してみよう」と考えてそのまま進めてしまい、後から「こんなはずじゃなかった…」と大後悔しているオーナー様が本当に多いということです。
家を売るべきか、貸すべきか。 その判断基準は、実はとてもシンプルです。
この記事では、私が実務で培った経験をもとに、専門用語をできるだけ使わず、あなたが一番トクをする(そして後悔しない)具体的な判断基準をわかりやすくお伝えします。
まずは、この記事で持ち帰っていただきたい「5つの結論」から見ていきましょう。
- 「売る・貸す」の決断は、家の良し悪しだけで決めない お家のスペック以上に、あなたのこれからのライフプランと「実際の収支計算」が一番の決め手になります。
- 迷ったら「売却」を基本にするのが安全 賃貸にして本当にうまくいくのは、「駅近などの超好立地」かつ「住宅ローンがほぼない」という2つの条件が揃ったときだけです。
- 「あとで売ればいいや」は税金で大損するリスクあり 住まなくなってから3年以内に売らないと、税金を最大3,000万円まで引いてくれる魔法のような特例(節税ルール)が使えなくなってしまいます。
- 家賃がそのままお小遣いになるわけではない 賃貸の手残りは、なんだかんだ諸経費を引くと「家賃の80〜85%」くらいになります。ここを甘く見積もると赤字に転落します。
- まずは「今、いくらで売れるか」を調べるのがスタートライン 売るにしても貸すにしても、今の我が家の「正確な市場価値(査定額)」を知らないことには、損得のシミュレーションすら始められません。
家を売るか貸すか——まず「あなたの状況」で9割決まる
「急な転勤が決まった」「実家を相続することになった」「離婚で家を出ることになった」など、家をどうするかという決断は、ある日突然やってくるものです。
慌ててネットで情報を集めているうちに、「うーん、どうしよう…」と悩んでいるだけで数ヶ月、1年と時間が過ぎていってしまう。これは非常にもったいないことです。悩んでいる間にも、税金の優遇が受けられるおトクな期限(3,000万円控除の期限)はどんどん迫ってきてしまいます。
ここで、一つだけ確かな結論をお伝えします。
もし今、少しでも迷っているなら、まず「今の売却価格」を知ることから始めてください。
我が家がいくらで売れるのかを知らずに「貸すべきか、売るべきか」を悩むのは、お財布の中にいくら入っているか分からない状態で買い物に行くようなものです。まずはしっかり足元の「数字」を把握して、そこから賢い作戦を立てていきましょう。
このチェックリストで今すぐ判断できる!
まずは、以下の質問に答えてみてください。「はい」の数が多い方が、あなたにとって相性の良い選択肢です。
【売却が向いている人のチェックリスト】
- 新しい家を買う(または借りる)ための元手(資金)がほしい
- 将来、この家に自分や家族が戻ってくる具体的な予定はない
- 家を離れてからすでに2年以上経っている(またはもうすぐ3年になる)
- 住宅ローンの残りが、売却価格の80%以上ある
- 管理の手間や、入居者トラブルなどの面倒な心配ごとを抱えたくない
【賃貸が向いている人のチェックリスト】
- 駅徒歩7分以内で、周りを見ても賃貸としての需要がかなり高そうだ
- 住宅ローンはもう完済している、あるいは残りがごくわずかだ
- 数年後に、自分や家族がまたこの家に戻って住む可能性がある
- 管理会社にお願いする手数料を払っても、毎月しっかり手元にプラスのお金が残る
「どっちにしよう…」と迷う人が陥りがちな3つの罠
実務の中で、多くの方がついついハマってしまう「思考の罠」を3つご紹介します。これを知っておくだけでも、大きな失敗を防げます。
罠①:「いつか戻るかも」と決断を先延ばしにする
「もしかしたら、また住むかもしれないし…」という曖昧な理由で決断を遅らせていると、税金をおトクにできる期限(住まなくなってから3年以内)をあっという間に過ぎてしまいます。結果として、数百万円レベルの税金を余分に払う羽目になることも珍しくありません。
罠②:「家賃がそのままお小遣い(利益)」だと思い込む
「家賃が月10万円だから、年間120万円の利益!」というのは大きな間違いです。
家賃収入からは、管理手数料、固定資産税、エアコンや給湯器などの修繕費がどんどん引かれていきます。実際に自分の手元に残るのは、思っている以上に少ない(想定の75〜80%程度)と思っておくのが現実的です。
罠③:「一度貸してみて、ダメなら売ればいい」と楽観視する
日本の法律(借地借家法)は、借りている人をもの凄く強く守る仕組みになっています。
そのため、一度人に貸してしまうと、「やっぱり売りたいから出ていってほしい」「自分が住むから返して」ということは原則できません。また、10年後にいざ売ろうとしたときには、建物がさらに古くなっていて、売却価格が大幅に下がっているリスクもあります。
【比較表】売却 vs 賃貸|メリット・デメリットをすっきり整理
| 比較項目 | 家を売る(売却) | 家を貸す(賃貸) |
| お金の入り方 | まとまった現金が一気に入ってくる | 毎月コツコツ、家賃収入が入る |
| 一番大きなリスク | 売却した後に、そのエリアの地価が上がること | 空室、家賃の滞納、突然の修繕トラブル |
| 持ち続けるコスト | 手放すので、その後の維持費はゼロ | 固定資産税、管理費、修繕費がずっとかかる |
| 税金のおトク制度 | 「3,000万円特別控除」という強力な節税がある(期限あり) | 建物の減価償却などで節税できる場合がある |
| かかる手間 | 売るとき(3〜6ヶ月程度)だけ | 入居者対応、確定申告など、持っている限りずっと |
| 将来の身軽さ | 非常に高い(いつでも次のステップへ進める) | 低い(入居者がいると、簡単には売れない) |
| 建物の価値 | 今の価値で、確実に現金化できる | 経年劣化によって、価値は下がり続ける |
売却は、手堅く確実。賃貸は、うまくいくかもしれないけれどリスクも伴う。
「これなら絶対に黒字になる!」という確実な根拠や条件が揃っていない限りは、売却を選ぶのがいちばん合理的で安心な選択です。
「家を売るべき」と言い切れる3つのケース
ケース①:住み替えや、新しい家の購入資金が必要なとき
「次の家を買うための頭金にしたい」という場合は、迷わず売却を選んでください。
「今の家を貸して家賃をもらいつつ、自分は新しく住宅ローンを組めばいいのでは?」と考えがちですが、銀行の審査はそんなに甘くありません。賃貸で入ってくる予定の家賃は、銀行からは50〜70%程度しか「収入」として認めてもらえないため、新しいローンが組めなくなる(または融資額が激減する)ケースがほとんどです。まずは今の家を売って、資金をクリアにしてから動くのが一番安全です。
ケース②:将来的に、もう自分が住む予定がないとき
「もしかしたら戻ってくるかも…」という曖昧な気持ちのまま人に貸すのは、実は一番危ないパターンです。
前述した通り、日本の法律では、一度入居した人を大家さんの都合で退去させることは、よほどの理由(立ち退き料の支払いなど)がない限り認められません。戻る具体的なスケジュールがないのであれば、市場価値(=家の価格)が一番高いうちに、気持ちよく現金化してしまうのが賢い選択です。
ケース③:3,000万円控除の期限が迫っているとき【知っておくべき税金のルール】
自分が住んでいたマイホームを売る場合、売却で出た利益(譲渡所得)から最大3,000万円まで税金を免除してくれるという、非常に強力な国のルールがあります。
ただし、これには「住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売ること」という厳しいタイムリミットがあります。
例えば、2023年3月に引っ越して空き家になった場合、2025年12月31日までに売却の契約を終えなければなりません。
この期限をたった1日でも過ぎて売ると、数百万円から、場合によっては1,000万円以上の税金がいきなり課せられることになります。「とりあえず数年貸してみよう」と軽い気持ちでスタートして、この期限をうっかり逃してしまうのが、不動産売却における一番の失敗パターンです。
「家を貸すべき」と言える2つの好条件
逆に、以下の2つの条件をどちらも満たしている場合は、賃貸として貸し出すことで「金の卵を産むニワトリ」になってくれる可能性があります。
条件①:駅近・人気エリアという「圧倒的な立地」
以下のような特徴を持つお家は、賃貸経営でしっかり勝ち残れるポテンシャルを持っています。
- 最寄り駅から徒歩5〜7分以内
- 周辺に、ライバルとなる似たような賃貸物件が少ない
- 人気の学区、再開発エリア、近くに大きな商業施設がある
- 単身者やファミリー層など、借りてくれる人が途切れない人気エリア
こういった場所にあるお家は、空室になる期間が短く、将来売るとなったときも価値が下がりにくいのが特徴です。このレベルの好立地であれば、「売るか貸すか」を本気で比較検討する価値があります。
条件②:ローンがすでに完済されている、または残りがごくわずか
賃貸経営が成功するかどうかは、単純に「手元に現金が残るか」で決まります。
賃貸にかかる主なコストの目安を見てみましょう。
| コスト項目 | かかる費用の目安 |
| 管理委託費 | 毎月の家賃の5〜8%(不動産会社へ支払う管理の手間賃) |
| 固定資産税 | 年間10〜20万円程度(物件の規模によります) |
| 修繕・原状回復費用 | 年間家賃の5〜10%程度(退去時の補修や設備の交換用) |
| 所得税(確定申告分) | あなたの本業の収入や、各種控除によって変動 |
| 実質の手残り目安 | 家賃収入全体の75〜85%が現実的な上限 |
例えば、家賃10万円で貸し出せたとしても、手元に残る実際のお金は毎月7.5万〜8.5万円くらいが限界です。
もしここから「毎月9万円の住宅ローン」を返済しなければならないとしたら、どうでしょうか?
家賃が入ってきているにもかかわらず、毎月数千円〜1万数千円の「赤字(持ち出し)」になってしまいますよね。
諸経費や税金をすべて引いた上で、毎月しっかりお財布にお金が残る(黒字になる)状態を作れるかどうかが、貸し出すための絶対条件になります。
賃貸経営で後悔する人が見落としがちな3大リスク
お家を貸すということは、甘い「不労所得」ではなく、あなた自身が「賃貸経営というビジネスのオーナー(社長)」になるということです。以下の3つのリスクを、現実的に引き受けられるか考えてみてください。
リスク①:誰も住んでくれない「空室」と「家賃滞納」
住宅ローンがまだ残っている状態で空室になると、当然ながらその間の家賃収入はゼロ。それでもローンの引き落としは毎月きっちりやってきます。
日本の都市部であっても、前の人が出てから次の人が入るまでに2〜3ヶ月かかるのはよくあることです。また、万が一「家賃を払ってくれない人」が入居してしまった場合、法律に則って出て行ってもらうためには、最低でも半年〜1年以上の時間と、数十万円の裁判費用が必要になります。
リスク②:突然やってくる「高額な修繕費」
お家は、住んでいるうちに必ずどこかが傷みます。大家さんには「借主が不自由なく暮らせるように家を維持する義務」があるため、設備が壊れたら自己負担で直さなければなりません。
| 修繕が必要な内容 | 発生する費用の目安(突発的) |
| エアコンの故障・交換 | 10〜20万円 / 台 |
| 給湯器の故障(お湯が出ないなど) | 15〜25万円 |
| 退去時の壁紙交換・クリーニング | 10〜30万円(入居期間による) |
| 外壁や屋根の雨漏り補修(10〜15年周期) | 50〜150万円 |
これらはある日突然壊れます。「今月はちょっとお金がないから待って」は通用しません。修繕費用のためのプール金をきちんと用意しておけないと、家計が一気に破綻してしまいます。
リスク③:建物が古くなることによる「売却価格の下落」
人が住んで時間が経てば経つほど、建物の価値は下がります。
例えば、今「築10年」の綺麗なお家を「10年間だけ誰かに貸そう」と考えたとします。10年後にその入居者が退去したとき、お家は「築20年」になっています。
築10年の家と、築20年の家。買い手から見た時の価値がどれほど違ってくるかは、想像に難くないですよね。「貸して稼いで、そのあと売ればいいや」というプランは、10年後の建物の価値がどれくらい下がるかを甘く見すぎている場合が多いのです。
【収支シミュレーション】10年間で売却 vs 賃貸、どっちがトク?
では、実際に「今すぐ売る」のと「10年間貸した後に売る」のでは、最終的に手元に残るお金にどれくらいの差が出るのか、具体的なモデルケースで計算してみましょう。
- モデルケース:築10年・駅徒歩8分・ローン残高1,500万円の戸建て
- 現在の売却査定額:3,000万円
- 貸し出した場合の想定家賃:月12万円(年間144万円)
- 毎月の住宅ローン返済額:月9万円(年間108万円)
- 管理費・固定資産税・修繕積立などの経費:家賃の20%(年間約29万円)
パターンA:今すぐ売却した場合
| 計算項目 | 金額 |
| 家が売れた代金 | +3,000万円 |
| ローンの残り(一括返済) | -1,500万円 |
| 仲介手数料や登記費用などの諸経費 | -約100万円 |
| 3,000万円特別控除(税金) | 適用されるため、税金は0円 |
| 今すぐ手元に残る現金 | 約1,400万円 |
パターンB:10年間賃貸に出した後、売却した場合
(※10年間、一度も空室にならず、突発的な大修理もなかったという「一番うまくいった場合の理想シナリオ」です)
| 計算項目 | 金額 |
| 10年間の家賃収入(12万×120ヶ月) | +1,440万円 |
| 10年間の維持管理費・税金(家賃の20%) | -288万円 |
| 10年間のローン返済(9万×120ヶ月) | -1,080万円 |
| 10年後の売却価格(築20年になり、40%価値が下がったと仮定) | +1,800万円 |
| 10年後の売却諸費用 | -約60万円 |
| 10年間の家賃利益 + 10年後の売却での手残り合計 | 約1,812万円 |
この試算から見えてくる真実
「なんだ、10年間貸したほうが400万円くらいトクじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、これはあくまで「10年間、ずーっと満室で、エアコンも給湯器も一度も壊れず、雨漏りもせず、10年後にも予定通りの価格で家が売れた」という、奇跡のようなハッピーシナリオです。
現実には、10年の間に何度か入居者の入れ替わりがあり(その都度リフォーム代や広告費がかかります)、空室期間が発生します。
また、給湯器の交換や雨漏り補修などが1度でも重なれば、この400万円の差などあっという間に吹き飛んでしまいます。
「多少のリスクや突発的な出費があっても、資産として持ち続けたい」という強い意志と資金力、そして何より「絶対に人が入るという抜群の立地」がある場合のみ、賃貸にするメリットがあると言えます。
プロが教える「失敗しない判断の3ステップ」
「売るべきか、貸すべきか」のモヤモヤを解消するために、以下の3つのステップで順番に進めてみてください。これが一番賢く、損をしないロードマップです。
ステップ①:まず我が家の「今の査定額」を知る(一番大切!)
なにはともあれ、ここからすべてが始まります。
今の家が「いくらで売れるのか」という確かな数字が分からないと、トクか損かの計算(シミュレーション)を始めることすらできません。
「でも、査定を頼んだら強引に売らされそうで怖い…」と不安になる必要はありません。
今はネットの一括査定サービスを使えば、不動産会社と何度も電話でやり取りをしなくても、最短数分で複数の会社から「あなたの家の今の価値」を教えてもらえます。
まずはいくつかの会社から出してもらった査定額を机の上に並べて、現実を見つめるところからスタートしましょう。
▼ 我が家の価値はいくら?まずは無料の査定額を確認してみる
不動産一括査定はどこがいい?月間3万人以上が使っている無料サービスがココ
ステップ②:賃貸にした場合の「リアルな家賃」を査定してもらう
売却の査定と同時に、地元の管理会社などに「もしこの家を人に貸したら、毎月いくらになりますか?」という賃貸の査定も依頼しましょう。
そこで提示された家賃から、諸経費(管理費・修繕積立・税金として最低でも2割)を引き、さらに毎月のローン返済額を引いてみてください。
もし、手元に残るお金が「ゼロ、あるいはマイナス(赤字)」になるようであれば、賃貸にするのはやめておきましょう。
ステップ③:「今すぐ売る」vs「10年後に売る」を比較する
ステップ①で分かった「今売った場合の手残り」と、ステップ②の家賃収入をベースにした「将来売った場合の手残り」を並べて比べてみてください。
「多少のリスクを冒してでも、将来の収入に賭ける価値があるか?」を冷静に見比べることで、進むべき道が自然と見えてきます。
転勤・相続など、状況別の安心判断ガイド
あなたや家族が置かれている状況によっても、優先すべきポイントは変わります。
転勤で、一時的に家を空けることになった場合
「数年後には確実にこの家に戻ってくる」と決まっているなら、「定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)」という方法で貸し出すのが一番です。
一般的な賃貸と違い、「契約期間が終わったら必ず退去してもらう」という約束で貸せるため、帰ってきた時に自分が住めなくなる心配がありません。ただし、借りる側にとっては「いつか出なければいけない家」になるため、相場より家賃を1〜2割安く設定しないと入居者が見つかりにくいというデメリットはあります。
親から実家を相続して、誰も住んでいない場合
実家の相続は、「思い出が詰まっているから売りたくない」という感情と、「維持費ばかりかかって困る」という現実の間で、とても心が揺れるものです。
しかし、一番やってはいけないのは「とりあえずそのまま放置して空き家にしておくこと」です。
誰も住んでいない家は急速に傷みますし、近年は「特定空家」に指定されてしまうと、固定資産税の優遇が外れて税金が最大6倍になってしまう恐れもあります。ご自身の気持ちの整理をつけつつも、できるだけ早い段階で「売却」か「賃貸」かの結論を出すことが、実は親御さんが残してくれた大切な資産を守る一番の方法です。
離婚や、ローンの返済が厳しくて家を出る場合
この場合は、何よりも「スピード」と「確実性」が最優先されます。
時間が経つほどローンの延滞リスクや精神的な負担が大きくなるため、賃貸経営というリスクのある道ではなく、できるだけ早く「売却」して生活再建を図るのが鉄則です。状況によっては「任意売却」などの専門的な手続きが必要になることもあるため、まずは信頼できる不動産会社や金融機関に早急に相談してください。
よくある質問(FAQ)
- 家を貸すと、やっぱり確定申告をしなければいけませんか?
-
はい、基本的には必要になります。
家賃で得た収入は「不動産所得」となり、お給料などの他の収入と合算して確定申告をすることになります。ただ、お家を管理するために使った費用(管理手数料、固定資産税、ローンの金利部分、設備の修繕費など)は「経費」として家賃から差し引くことができるため、思ったよりも税金がかからないケースも多いです。
- 住宅ローンが残っている家を、銀行に黙って貸しても平気ですか?
-
絶対にやめてください。一括返済を求められる大きなリスクがあります。
住宅ローンはあくまで「自分や家族が住むこと」を条件に、非常に安い金利で借りられているローンです。これを銀行に無断で人に貸すと、契約違反となり、「残っているローンを今すぐ全額返してください」と言われても文句は言えません。
ただし、転勤など「やむを得ない事情」がある場合は、事前に銀行に相談することで、そのままの金利で貸し出すことを認めてもらえるケースがあります。必ず事前に銀行の窓口へ相談に行きましょう。
- 築20年以上の古い実家ですが、こんな家でも誰か借りてくれますか?
-
借りてくれる人はいますが、貸し出す前にリフォームが必要になることがほとんどです。
特に水回り(お風呂・キッチン・トイレ)や壁紙が古いままでは、今の入居者はなかなか見つかりません。リフォームに数百万円をかけることになりますが、「その費用を家賃何年分で回収できるか」を慎重に計算する必要があります。もしリフォーム費用の回収が難しそうなら、「そのままの状態で売りに出し、買った人に好きにリフォームしてもらう(現況売却)」方が、あなたの持ち出し費用がゼロになるため安全です。
- 管理会社にお任せすれば、大家さんは何もしなくていいですか?
-
手間はほぼゼロになりますが、「大家としての決断」は必要です。
日常の家賃回収や入居者からのクレーム対応などは、管理手数料(家賃の5%程度)を払えば管理会社がすべて代行してくれます。しかし、「エアコンが壊れたので15万円で交換していいですか?」「次の入居者のためにリフォーム代20万円の工事をやっていいですか?」といった、最終的なお金の支出や修繕の決定は、すべて大家さんであるあなたが判断しなければなりません。完全に「ほったらかしでお金だけが入ってくる」わけではないことは、心に留めておいてください。
- 不動産会社に売却の査定を頼むとお金がかかりますか?
-
いいえ、査定は完全に無料です。
不動産会社は「将来的に売りたい」というお客さまと出会うために査定を行っているため、見積もりを出すだけでお金を請求されることはありません。
ただし、1社だけの査定を鵜呑みにするのは危険です。会社によって査定額に100万〜300万円もの差が出ることは日常茶飯事だからです。まずは複数社にまとめて依頼できる「一括査定サービス」を使い、複数のプロの目から見た「我が家の適正な価値」を比較することをおすすめします。
まとめ|あなたの「後悔しない一歩」を踏み出そう
家を「売るか貸すか」の決断に、たったひとつの正解はありません。大切なのは、家の見た目や築年数だけで決めるのではなく、「あなたのこれからの暮らし」と「客観的なお金の数字」をベースに判断することです。
- 売却が向いているのは……
- 次の生活のための資金がほしい人
- 将来、その家に自分で住む具体的な予定がない人
- 税金の優遇期限(住まなくなってから3年以内)が迫っている人
- 管理の手間や将来的なリスクをできるだけ避け、身軽になりたい人
- 賃貸が向いているのは……
- 駅近・人気エリアなど、ライバルに負けない強い立地のお家を持っている人
- ローンがすでに終わっている(または極めて少ない)ため、確実に毎月プラスの現金が手元に残る人
- 数年後に、自分や家族がまたその家に戻ってくる具体的な予定がある人
どちらの道に進むにしても、スタートラインは同じ。「今の我が家が、一体いくらで売れるのか(=正確な現在地)」を知ることから始まります。
地図を持たずに山に登れば迷うように、我が家の価値を知らないまま「どっちが良いんだろう…」と悩み続けることこそが、一番時間を無駄にし、税金の期限を逃して損をしてしまう原因になります。
家の査定はすべて無料で、数分もあれば依頼できます。
「売ると決めたわけじゃないから…」と気にする必要はまったくありません。
まずは、あなたの大切なお家が今、市場でどう評価されているのか。プロの目による客観的な「数字」を確認することから、後悔のない一歩を踏み出してみましょう。

