「リースバックをしなければよかった……」
「家を売ったお金が、思ったより早く底をついてしまった」
自宅を売却して現金を得ながら住み続けられるリースバックは、一見すると魔法のような仕組みです。
しかし、実際には、仕組みを十分に理解せぬまま契約し、数年後に涙を呑むケースが少なくありません。
先に結論からお伝えします。
リースバックで後悔する最大の原因は「目先の現金」に目がくらみ、「将来の家賃負担」と「契約形態」の確認を怠ることです。
リースバックは上手に活用すれば、悩みを解決したり豊かな人生を過ごせる選択肢にもなり得ます。
この記事では、実際にあった後悔の事例を紐解きながら、あなたが同じ罠にはまらないための具体的なチェックリストと対策を徹底解説します。
1. リースバックで後悔する「4つの典型的な失敗事例」
後悔のパターンは驚くほど共通しています。まずは、よくある失敗を知ることから始めましょう。
事例①:家賃が高すぎて生活が破綻した
「住宅ローンの返済より家賃の方が高くなってしまった」というケースです。
リースバックの家賃は周辺相場ではなく、売却価格(投資額)に対する利回りで決まります。
- 原因: 高く売ることばかりを優先し、自分の首を絞める家賃設定に同意してしまった。
事例②:「一生住める」と思ったのに退去を迫られた
「更新できると言われたのに、3年で契約が終了した」というトラブルです。
- 原因: 「定期借家契約」を結んでいたため、期間満了でオーナーに更新を拒否された。営業担当者の口約束を信じ、契約書の「種類」を軽視した結果です。
事例③:買い戻し価格が「売却価格」より大幅に高かった
「数年後に買い戻すつもりだったが、提示された金額が売却時の1.3倍で手が出なかった」という事例です。
- 原因: 契約時に「買い戻し価格」の計算式を確定させていなかった。
事例④:相続人である子供とトラブルになった
「親が勝手に家を売っていたことを、親の死後に知った」というケースです。
- 原因: リースバックは所有権が他人に移るため、相続財産から自宅が消えます。これを黙って進めると、将来の遺産分割で親族間に深い溝が生じます。
2. なぜ後悔する?リースバックに潜む「不都合な真実」
不動産会社が積極的には語らない、リースバックの構造的なデメリットを理解しておきましょう。
- 売却代金は「家賃」として吸い取られる: 受け取った売却代金は、毎月の家賃支払いに充当されます。計算上、10年〜15年程度で「売却代金 < 家賃総額」となり、トータルでは損をすることがほとんどです。
- 所有者としての権利を失う: 壁に釘を打つ、リフォームをする、ペットを飼う。これらすべてに「大家さん」の許可が必要になります。自分の家だった場所が「借り物」になる心理的ストレスは想像以上に大きいです。
- 資産価値の目減り: 市場価格の70%〜80%で売却するため、最初から「含み損」を抱えた状態でのスタートとなります。
3. 専門家が教える「後悔を回避する3つの鉄則」
多くの成約と失敗を見てきたプロの視点から、後悔をゼロにするための戦略を伝授します。
鉄則1:家賃の「損益分岐点」を計算する
売却代金が何ヶ月分の家賃で消えるかを算出してください。
計算式:売却代金 ÷ 毎月の家賃 = 住める期間(月数)
もしこの期間が100ヶ月(約8年)を切るようなら、リースバックではなく「普通に売却して安い賃貸へ転居」する方が、経済的な後悔は少なくなります。
鉄則2:「普通借家契約」を絶対条件にする
「長く住みたい」のであれば、定期借家契約は避けるべきです。
多くの業者が「再契約できますから」と定期借家を勧めてきますが、これは業者の都合です。自分の居住権を守るためには、普通借家契約に対応している会社を根気強く探してください。
鉄則3:親族への「事前相談」を怠らない
後悔は自分だけとは限りません。子供がいる場合は、必ず事前に話し合ってください。「家を残してほしい」のか「現金化して生活を楽にしてほしい」のか、家族の合意があるだけで、将来のトラブル(後悔)の9割は防げます。
4. リースバックと「仲介売却」の比較表
「本当にリースバックでいいのか?」を再確認するための比較表です。
| 比較項目 | リースバック | 通常の売却(仲介) |
| 後悔の理由 | 家賃負担、退去リスク | 引っ越しの手間、近所にバレる |
| 価格 | 市場の70〜80% | 市場の100% |
| 居住 | そのまま住める | 退去が必要 |
| 維持費 | 家賃のみ | 固定資産税・修繕費等 |
| 向いている人 | 期間限定で住み続けたい | 1円でも高く売りたい |
5. よくある質問(FAQ)
Q. リースバックを契約した後に解約(キャンセル)はできますか?
A. 売却手続きが完了(決済)した後のキャンセルは、原則として不可能です。どうしても戻したい場合は「買い戻し」になりますが、売却時より高い金額を請求されます。契約前の「クーリングオフ」のような制度は不動産売買には適用されませんので、慎重な判断が必要です。
Q. 悪徳業者に騙されないための見極め方は?
A. 「デメリットを説明しない」「契約を急かす」「家賃が異常に安い(後で値上げする罠)」といった会社は危険です。また、提示された家賃が周辺相場とあまりにかけ離れている場合も注意が必要です。必ず「レインズ(不動産流通標準情報システム)」の成約事例に基づいた説明を求めましょう。
結論:後悔するかどうかは「契約前のシミュレーション」で決まる
リースバックは、「住居の安定」と「まとまった現金」を交換する高度な金融取引です。
後悔している人の多くは、「今すぐお金が必要」という焦りから、数年後のシミュレーションを疎かにしていました。
失敗を回避するための次のステップ:
- 今の家の「本当の市場価値(仲介相場)」を知る。
- 「リースバックの家賃」と「周辺の賃貸相場」を比較する。
- 複数の会社から「普通借家契約」での見積もりを取り寄せる。
まずは「いくら手に入り、いくら出ていくのか」を紙に書き出すことから始めてください。数字を直視することが、最高の後悔防止策になります。

