「築年数が古すぎて、普通の売却では買い手がつかないと言われた」
「こんなボロボロの家でも、住み続けながら現金化できるの?」
築40年、50年を超える「古い家」を所有している方にとって、リースバックは「最後の希望」のように思えるかもしれません。
しかし、同時に「本当に売れるのか」「足元を見られて買い叩かれるのではないか」という強い不安も抱えているはずです。
先に結論からお伝えします。
古い家であっても、リースバックは十分に可能です。むしろ、古い家だからこそリースバックが最適な解決策になるケースも多々あります。
なぜなら、リースバックの買い手(不動産会社や投資家)は、建物の新しさだけでなく、「土地の価値」や「将来的な運用の可能性」を評価するからです。
この記事では、不動産実務の専門家としての視点から、古い家がリースバックで売れる理由、古い家特有のリスクと回避策、そして少しでも有利な条件で契約するための具体的な戦略を徹底解説します。
1. 築年数が古くてもリースバックができる「3つの理由」
「なぜ、こんな古い家を買ってくれる人がいるの?」という疑問にお答えします。買い手側の視点を知ることで、不安は解消されます。
理由①:「建物」ではなく「土地」に価値があるから
日本の不動産市場では、一般的に木造住宅は築20年〜25年で建物の資産価値がほぼゼロとみなされます。しかし、土地の価値は築年数に関係なく残ります。 特に都市部や利便性の高い立地であれば、建物がどれだけ古くても「土地値(とちね)」としての評価がつくため、リースバックの対象となります。買い手は将来的に「更地にして売る」「建て替えてアパートにする」といった出口戦略を描けるため、購入に踏み切れるのです。
理由②:リノベーション前提の投資対象になるから
近年、古民家や築古物件を安く買い取り、リノベーションして再生させる投資手法が人気です。 あなたが住み続けている間は家賃収入が得られ、退去後はリノベーションして高く転売したり、賃貸物件として運用したりできます。「古さ」が逆に「味わい」や「安く仕入れられるメリット」として評価される時代なのです。
理由③:賃借人(あなた)がいることが「安定収益」になるから
投資家にとって最も怖いのは「空室リスク」です。しかしリースバックの場合、購入と同時にあなたが賃借人として住み続けることが確定しています。 つまり、購入直後から確実に家賃収入が入ってくる「優良な投資案件」となるため、建物の古さよりも「安定した利回り」が優先されるケースがあるのです。
2. 古い家のリースバックで発生する「3つの特殊なリスク」
古い家には、新築や築浅物件にはない特有のリスクが潜んでいます。これらを無視して契約すると、後で大きなトラブルに発展します。
リスク①:修繕費用の負担問題(雨漏り、設備故障)
古い家は、給湯器の故障、雨漏り、シロアリ被害などがいつ発生してもおかしくありません。 通常の賃貸ではオーナー(貸主)が修繕義務を負いますが、リースバックでは契約によって「小修繕は借主(あなた)負担」「構造に関わる大規模修繕のみ貸主負担」などと細かく取り決められます。
専門家のアドバイス: 契約書に「どこまでが自分の負担か」が明記されていないと、高額な修繕費を請求される恐れがあります。必ず「修繕区分」を確認してください。
リスク②:耐震基準を満たしていない可能性
1981年(昭和56年)5月以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」で建てられており、現在の大地震への耐震性が不足している可能性があります。 これにより、買い手が見つかりにくくなったり、査定額が下がったりする要因になります。また、住み続ける上での安全面のリスクも考慮しなければなりません。
リスク③:再建築不可物件の可能性
「前面道路が狭すぎる(2m未満)」などの理由で、一度壊すと今の法律では新しい家を建てられない「再建築不可物件」である可能性があります。 この場合、土地の価値が極端に低くなるため、多くのリースバック業者から断られるか、非常に低い査定額を提示されることになります。
3. 【独自視点】古い家を「高く、有利に」売るための戦略
古い家だからといって、言い値で買い叩かれる必要はありません。プロが実践する戦略を伝授します。
戦略①:「瑕疵担保免責(かしたんぽめんせき)」を条件にする
これが最も重要です。 「瑕疵(かし)」とは、雨漏りやシロアリなどの隠れた欠陥のことです。通常、売主は売却後も一定期間この責任を負いますが、古い家でこれを負うのはリスクが高すぎます。
「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を免責とする(責任を負わない)」という特約を付けてくれる業者を選ぶことが、安心して住み続けるための絶対条件です。
※ただし、知っている欠陥を隠して売ると告知義務違反になります。
戦略②:築古物件に強い「専門業者」を選ぶ
大手不動産会社だからといって、古い家の扱いに慣れているとは限りません。むしろ、社内規定で「新耐震基準のみ」と定めているところもあります。
「築古再生」「空き家活用」などを専門に謳っている業者や、地元の事情に詳しい地域密着型の不動産会社の方が、古い家のポテンシャルを正当に評価してくれる傾向があります。
戦略③:複数社の査定で「土地値」を把握する
古い家の査定額は、業者によって数百万円の差が出ることが珍しくありません。
「建物評価ゼロ、土地値のみ」と判断する業者もいれば、「賃貸収益が見込めるから建物にも少し値をつけよう」と判断する業者もいます。
必ず3社以上の相見積もりを取り、自分の家の「土地としての最低価格」を把握した上で交渉に臨んでください。
4. 契約前に要確認!古い家のチェックリスト
契約書にハンコを押す前に、以下の項目を再確認してください。これが守られていれば、トラブルの9割は防げます。
- 「契約不適合責任(瑕疵担保責任)免責」の特約はあるか?
- 修繕費用の負担区分は明確か?(例:1万円以下の修理は借主、それ以上は貸主など)
- 契約は「普通借家契約」になっているか?(長く住みたい場合)
- 耐震診断の有無や結果について説明を受けたか?
- (再建築不可の場合)将来的な建て替えができないリスクを理解したか?
5. よくある質問(FAQ)
Q. 築50年でボロボロですが、本当に断られませんか?
A. 断られるケースもありますが、可能性はゼロではありません。立地が良ければ土地として評価されますし、賃貸需要があるエリアなら投資対象になります。諦めずに、築古物件を得意とする複数の業者に相談してみてください。
Q. 家の中に不用品(残置物)がたくさんあるのですが、そのままで大丈夫ですか?
A. 基本的には、リースバック契約時に「現状有姿(そのままの状態)」で引き渡すケースが多いです。ただし、あまりにゴミ屋敷状態だと査定に影響したり、片付け費用を請求されたりすることもあります。常識の範囲内で整理しておくのが望ましいでしょう。
Q. シロアリ被害があることが分かっているのですが、売れますか?
A. 売却は可能ですが、必ず事前に「告知」する必要があります。告知せずに売ると、後で損害賠償請求されるリスクがあります。正直に伝えた上で、その分査定額が下がることを受け入れるか、自分で駆除してから売るかを検討しましょう。
結論:古い家こそ、リースバックで「負動産」を「資産」に変える
築年数が古い家は、所有しているだけで固定資産税がかかり、修繕費がかさみ、将来は解体費用も発生する「負動産」になりがちです。
しかし、リースバックを活用することで、そうした将来の不安をすべて断ち切り、まとまった現金に変え、なおかつ住み慣れた我が家に住み続けることができます。
成功の鍵は「業者選び」と「契約条件の確認」に尽きます。
「古いから仕方ない」と足元を見られることなく、適正な評価をしてくれるパートナーを見つけるために、まずは勇気を出して複数の専門業者に査定を依頼することから始めてください。
あなたの古い家には、あなたが思っている以上の価値が眠っているかもしれません。

本記事の執筆にあたっての留意事項
※築古物件の取り扱いは不動産会社によって方針が大きく異なります。すべての物件でリースバックが可能であることを保証するものではありません。
※瑕疵担保免責の条件などは、個別の契約交渉によって決定されます。必ず専門家(宅地建物取引士や弁護士)による契約書の確認を受けてください。
