「住宅ローンの返済が苦しいけれど、この家には住み続けたい」
「ローンがまだ残っている状態でも、リースバックは利用できるの?」
住宅ローンの支払いに不安を感じたとき、解決策の一つとして浮上するのがリースバックです。
しかし、「ローンが残っている家を売ることができるのか」という疑問は、多くの方が抱く最大の懸念点でしょう。
先に結論からお伝えすると、
住宅ローンが残っていても、リースバックは可能です。
ただし、「売却代金でローンを全額返済できること」が絶対条件となります。
この記事では、ローン残債がある状態でリースバックを成功させるための条件や、もし売却額がローン残高を下回ってしまった(オーバーローン)場合の対処法について、プロの視点から詳しく解説します。
1. ローンが残っている家でリースバックするための「必須条件」
住宅ローンが残っている家には、銀行などの金融機関によって「抵当権」が設定されています。リースバックを行うには、この抵当権を抹消しなければなりません。
① 原則:売却価格 > ローン残債
リースバックで家を売った代金で、ローンを残り一括返済できる状態(アンダーローン)であれば、何の問題もなく契約を進められます。
- 例: ローン残高1,500万円 / リースバック売却価格1,800万円 → 1,500万円を銀行に返し、手元に300万円残る。抵当権も抹消され、無事にリースバック成立。
② 例外:売却価格 < ローン残債(オーバーローン)
売却代金だけではローンを完済できない場合、通常は銀行が抵当権の抹消を認めてくれません。しかし、以下の2つの方法で解決できる可能性があります。
- 自己資金で補填する: 不足分を貯金などで充当し、全額返済する。
- 任意売却(にんいばいきゃく)を併用する: 銀行の合意を得て、ローンが残る状態でも売却を認めてもらう特殊な手法です。
2. 【重要】リースバック特有の「売却価格」に注意!
ここが最も後悔しやすいポイントです。 リースバックの売却価格は、市場相場の70%〜80%程度になります。
- 通常の売却(仲介): 3,000万円で売れる家
- リースバック: 2,100万円〜2,400万円程度の査定になる
つまり、「普通の売却ならローンを返せるけれど、リースバックの査定額だとローンが残ってしまう」という事態が起こりやすいのです。ローンが残っている方は、まず「リースバックでの正確な査定額」を早期に把握することが不可欠です。
3. ローン残債がある人がリースバックを選ぶ「3つのメリット」
厳しい条件がある一方で、ローンを抱えている人がリースバックを選ぶことには大きな利点があります。
① 競売を回避し、生活を立て直せる
ローンの滞納が続くと、最終的には「競売」にかけられ、強制的に退去させられます。その前にリースバックを行うことで、「借金の解消」と「住まいの確保」を同時に実現でき、精神的な平穏を取り戻せます。
② 毎月の支出を「家賃」として固定できる
変動金利の上昇や、修繕積立金の値上げに怯える必要がなくなります。毎月の支払いが「家賃」という明確な固定費になるため、家計の管理が非常に楽になります。
③ 近所に経済的な困窮を知られない
「ローンが払えなくて家を売った」という事実は、誰にも知られたくないものです。リースバックなら、引っ越し作業が発生しないため、周囲からはこれまで通りの生活を送っているように見えます。
4. オーバーローンでも諦めない!「任意売却リースバック」とは?
「売却価格よりローン残高の方が多いから無理だ……」と諦めるのはまだ早いです。「任意売却(任売)」という手法を組み合わせることで、道が開ける場合があります。
任意売却リースバックの流れ:
- 専門の業者が銀行と交渉し、「全額返済できなくても抵当権を外してほしい」と合意を得る。
- リースバック業者が物件を買い取る。
- 売却代金はすべて銀行への返済に充てられ、残った借金は無理のない範囲で分割返済していく。
- あなたはそのまま家賃を払って住み続ける。
※ただし、任意売却は「ブラックリスト(信用情報)」に載る可能性があるため、最終手段として専門家と相談しながら進める必要があります。
5. チェックリスト:ローンがある人が確認すべき5項目
契約前に必ず以下の数字を確認し、メモしておきましょう。
- 現在のローン残高はいくらか?(返済予定表やネットバンキングで確認)
- リースバックでの「買取価格」はいくらか?(複数社の見積もり)
- 売却後の「毎月の家賃」はいくらか?(無理なく払える額か)
- 仲介手数料や事務手数料などの諸経費はいくらか?
- 銀行(債権者)は売却に同意してくれそうか?
6. よくある質問(FAQ)
Q. ローンを滞納していてもリースバックはできますか?
A. 可能です。ただし、滞納期間が長くなり「競売」の手続きが進んでしまうと、リースバックの交渉が難しくなります。督促状が届いている場合は、一刻も早く専門業者に相談してください。
Q. 親名義の家で、子がローンを払っている場合は?
A. 名義人である親の同意があれば可能です。リースバックで得た資金をローンの完済に充て、その後、親子で協力して家賃を支払っていくという形を取るケースも多いです。
Q. リースバック後の家賃をローン返済額より安くできますか?
A. 可能です。売却価格をあえて下げることで、算出される家賃を抑える交渉ができます。ローンを完済できるギリギリのラインで売却価格を設定するのが、家賃を安くするコツです。
結論:まずは「残債」と「査定額」を天秤にかける
住宅ローンが残っていても、リースバックは強力な救済手段になります。
しかし、「売却価格 ≧ ローン残高」というハードルを越えられるかどうかが、すべての分かれ道です。もしローンの方が多くても、任意売却という選択肢があります。
一人で悩まず、まずは「今の家がリースバックでいくらになるのか」という現実的な数字を手に入れてください。それが、あなたの生活を守るための第一歩となります。

